前回から大分空いてしまいましたが、電経新聞さん連載の第2回原稿をアップさせて頂きます。
テーマはマーケティングなので、「民主化」というキーワードを付けるのは大分躊躇われたのですが(なんにせよ、マーケティングというのは「民主的」なものを内在していると思うので、言葉が被っているんじゃないの?と自問自答していたのです)、以前CNET日本法人の代表を務めていた時にも、法人をターゲットとしたマーケティングにおいてはあまり民主的なものを感じていなかったので、敢えて「民主化」というキーワードを付けてみました。
要は、導入してみないと使えるものかどうか分からない、というところから、会社の中のどなたも簡単にソフトウェアサービスを試用出来るようになったことで、今までとはちょっと違うサービスの導入プロセスが広がりつつあるんじゃないか?というお話です。
実際、当社の事例でも、決裁者の方がなんとなく「これいいんじゃないかな?」と思っているところに、同じサービスを試用したスタッフの方が「困っているならこんなものがありますよ」とご紹介頂けるケースというのが結構頻繁にあるので、サービス提供形態の変化と、Webメディアの広がりによって、大分法人向けマーケティングというものも変わってきたんじゃないかなと。
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「民主化」する法人向けマーケティング
~法人向け市場でもネットにより変わるマーケティング
私が代表を務める日本技芸では、クラウド基盤を活かしたグループウェアなどの法人向けアプリケーションサービスの提供を昨春より行っているが、最近の販売状況を見ていると、まだまだ営業マンを主体としたヒューマンなコミュニケーションも大事であるものの、法人向けでもお客様からサービスの発注に至るまでのプロセスが、マーケティング投資方針に大きな影響を与えるほど変わったと感じている。
従来の法人向けIT関連商品の販売であれば、他に本当にサービスを求めている担当者や責任者にアクセスする方法がなかったため、営業マンが飛び込みや事前に得たリード情報をもとにお客様を訪問して、商品の魅力などを説明の上、導入に至るというケースが一般的だった。もちろんこうした営業販売はまだ現在でも有効で、主流を占めている。
しかしながら、商材がソフトウェアサービス化するにつれ、最近当社でも顕著なのは、お客様がメディアやWeb、あるいはネット上のクチコミで製品についての認知を得て、サービスについての無償のトライアルをご自身で行った上で、営業マンがお客様に接触することなくサービスの導入に至るケースだ。
今までだとまず決裁権者にアプローチを、となりがちだった法人向けITサービスの営業だが、現在では社内で利用したいサービスが社員の試用に基づいて民主的に選ばれていき、決裁権者に上がる頃には決裁権者もサービスを知っていて、スムーズに決裁が進む、ということが起きている。
思えば最近の米国の法人向けインターネットサービスにはこのように、法人向けでもまずは企業内個人や部門などからダイレクトにアプローチしていくものが多い。ファイル共有サービスのDropboxしかり、ドキュメント管理サービスのEvernoteしかり、だ。
情報システム管理担当の方が社内システムを頑張って統制しようとしても、その枠組みを抜け出して勝手に個人でこのようなサービスを使う社員はどこの企業でも見かけるものだ。
しかしながら、良いサービスは社内でその噂と草の根的な利用を広めていき、ある時点でそのサービス抜きでは業務が回らない状況となり、結果的には全社的に秩序ある形でのサービス導入が進む。これはインターネットのコンシューマー向けサービスの普及形態と酷似しているが、これからは業務システムの導入でもこうした流れが一般的になっていくのではないだろうか?
業務にもインターネットが幅広く導入された今、サービス自体にマーケティングの仕掛けも内在させたサービスが今後販売を拡大していくだろう。SaaS提供の先駆けとも言われる米国の販売支援ソフトウェアサービス企業、セールスフォース社の代表であるマーク・ベニオフ氏は、「クラウドは(大企業から小企業まで等しく使える)民主化したシステムである」と講演で語ったそうだが、それは法人向けマーケティングにおいても例外ではないだろう。