イラク派兵に物申す

 今日イラクへの自衛隊派遣に関する基本計画が出たようです。一昨日会社に戻る時に神保町駅にて下車し、岩波ホールの前を歩いていたら、市民団体の人が派遣反対の署名活動をしていましたが、メディアでも反応は様々なように、国論も様々あるようです。日本の状況を考えると、どれも正解といいにくいものだと思っています。

 私個人的には、世の中が大きく動く中、現在は日本の外交政策を考える上でも相当転換期にあることがわかっている一方、今回の件に関しては基本的には強く反対の立場にあります。その根拠は:

 基本的な日本の国際協力のフレームワークは国連を中心としたものとなるべきである。こういう話をすると、必ず否定派から「国連は機能しないから」というのが言い訳として上がりますが、だったら国連が機能するように外交を考えるべきではないのか?(例えば、常任理事国入りを考えるとか)

 そもそも今回の戦争は、こうしたフレームワークから外れたものであり、国際的に多くの合意を取り付けた上での施策であったとは言い難い。その意味では「派遣の大義」をそもそも失っている。

 また20世紀に入って「民族自決」という思想が国際的な枠組みを考える際に上げられていたかと思いますが、イラクという地域が人種的にモザイク国家で、単純にこの思想の忠実な実行をどうこういえないとはいいつつも、自分の国に関しては自分たちで決める、それが難しい時には可能な限り中立的なフレームワークの中で決める(これが所謂国連の立場だと思いますが)、というのがこれまでの国際紛争の「基本」だったのではないかと。

こういったところでしょうか。 

 石破防衛長官はメディアにきちんと出演して、「日本の国益を踏まえ…」という主張を展開している点ではエライ!と思いますが、短期的な日本の国益(石油利権と日本の国防問題)と、長期的な国益(国際的な和平のフレームワーク作りへの貢献)を秤にかけた時、どちらが重要なのか疑問として残りました。

 ただ、壊(さ)れたイラクを国際的にどう支援していくか?という議論は今後も建設的に実施していくべきと思います。個人的には、国連での支援策がまとまれば、日本もそれなりの人的貢献を実施すべきだと思いますし、当地が危険地であるという認識に立って、重武装を許可した上で自衛隊を派遣し、人道的な支援を行っていく、ということがなされるべきだと思っています。もちろんこの際には憲法改正と、国民に対するリスクの説明が必須でしょう。

 日本として、国際的な安全保障のフレームワークを考える上では、そろそろ極端な米国依存からの脱却と、お金でケリをつけるようなスタンスからの脱却(いずれにせよ、経済的にもこの手法は取りにくくなりつつありますし)を考える必要があるのではないでしょうか。

 私は外国の日本人学校に行っていたので、当地の外交官の方がいかに頑張っているかもなんとなく知っていますし、それだけにメディアからの批判だけが集中して、評価されない部分が大きいのも残念だと思っています。

 今こそ外交官の方には頑張ってほしいと思いますし、一方で政治家は「日本の国際協力のあり方、基本思想」を思い切って国民に説明し、正面から国会で議論してもらいたいと思う今日この頃です(来年初頭の参院選挙では、是非この点を争点としてしっかり持ってきてもらいたいところですね)。

限りない可能性の国、中国

 うちの編集長もBlogに書いていましたが、先週の月曜日から金曜日まで中国に行っていました。私は上海から入って北京へ、というコースで、1日しか滞在できなかった上海では古い知人の片岡君(つるちゃん)や、某メーカーの課長とお会いし、上海での広告ビジネスの現状や電気機器の売れ行きについてお話ししました。

 その後北京に移動して某キャリア企業にお伺いして中国のインフラ動向についてヒアリング、その後編集長と合流して弊社の中国オフィスでIT媒体ビジネスの現状について意見交換、最後は某電機メーカーで中国における携帯電話の製造・販売戦略についていろいろと伺いました。この辺の経緯はいつか編集長が自分のBlogか、あるいは弊社のWeb上でそのうち書くでしょう:-) (と、振ってみる)。

 様々な人とお会いして、また上海、北京の町並みを見ながらの中国の感想は、もう「驚嘆」の一言に尽きました。編集長とも現地でいろいろと話しましたが、日本のメディアで表現される国家としての様々なアベレージの経済指標を見ることはこの際あまり意味がなくて、北京の中心地に栄えるショッピング街や、まるでニューヨークにあるビルのように聳え立つホテルやオフィスビル群を見て、現地で熱気を感じることが本当に大事だと思いました。賃金格差もものすごく、物価にも地域によって相当なバラツキがあり、混沌とした感じがありますが、鋭い人であればここにまだ成長の余白を感じることができるのではないでしょうか。

 私は学生時代に父親がシンガポールにいた関係から、よく東南アジアの国々を歩き回りましたが、とにかくそこで感じた熱気と同じものを感じました。タイに代表されるように、90年代の後半にこれら東南アジアの新興各国は国際的なマネーの乱流に巻き込まれてひどいことになってしまいましたが、中国は今のところこうした歴史に学んで、通貨のコントロールを慎重にやっているようです。

 現地でもキャピタルフライトが近いうちに必ずあるとは皆言いつつも、短・中期的には少なくともオリンピックまでは成長を続けるだろうし、その後も開発の余地がとにかく沢山あるところで1度はへこむことがあっても、また必ず大きな市場へと進展するだろうという読みを少なからず聞きました。

 お会いした多くの日本の企業の方も仰っていましたが、「中国はどこか気分が自由になるところがある」ということで、最初にご紹介した片岡君を始め皆さんのびのびとビジネスをやっていらっしゃいました。

 片岡氏は私よりも少し若いにも関わらず、日本でベンチャーの副社長をやった後、そのまま世界をふらふらとしていたら上海が住み心地が良さそう、とのことで住み着いて、現地でパートナーを見つけて会社を作ってしまった人です。

 彼が言うには、「ここ2~3年を考えれば日本で働く意味はまだ大きいけど、5年を考えた時には向こうで働いた経験が必ず大きく実る」ということでしたが、私も今回先方の状況を見るにつけ、同じような感想を持った次第です。以外に時流に乗ってとにかく早く始める、ということが事業上有利に働くことは少なくありません。現在の中国の成長感を考えると、今始めることが将来の大きな実りを得ることにつながるのではないかと思います。

 また、「若い人こそこういう成長市場で勝負すべきだ」、とも感じました(あまりうちのインターンの人たちには響かなかったようですが)。とにかく「ルールがなければ自分たちがはじめて、それをルールにしていく」というぐらいアグレッシブな人たちが山のようにいるところで、日々競争することは精神面でも相当プラスになりますし、そういった環境の中で1からものを作るということはビジネスを考えても非常にいい経験になるのではないかと思います(私がもし自分の会社をやっていたら、多少短期的なロスになっても人を中国に派遣してしまうのに、と思っていた次第です。自分が行ってしまったかもしれませんが…)。

 タダでさえ閉塞感を感じている若い人たちには、格好の活躍場所になる可能性は大です。私も前の会社でウジウジと悩んで前にも後ろにも進まない人たちと会ってハッパをかけることがありますが、そういう人こそ想像を絶するスピードと規模で成長が進んでいるかの国を訪れて、ビジネスアイディアの1つも考えてみればいいじゃないか、と思わず一人ごちてしまったのでした。

 うちの会社は中国にものすごい勢いで成長しているグループ企業があるので(ここも1世代前のビジネスをやっているかと思っていたら大間違いで、ものによっては日本よりも進んだことをやっていたりします。さらにオフィスもアメリカ本社の素材やレイアウトをトレースし、非常に整然としたスペースを作っています。)、来年は彼らと協調しながら日本企業の中国進出を支えていきたいものだ、と思いながら帰ってきた今回のフライトでした。なにか中国でのビジネスについてあれば、お気軽にご相談くださいませ:-)