最近、時間を見つけては IT 業界に関連する様々な方をお訪ねして歩いていますが、どこでも共通して伺う問題があります。それは何かと言うと、30~40代の人達から見た優秀なエンジニアやクリエイターの不在です。
若手が今ひとつだ!というのはステレオタイプなおやじの台詞で、世代間の違いとかやっかみなど、本来は優秀なのにきちんと評価されていない、という見方も確かにかなり大きくありますが、どうもそうではない部分もあるようです。どういったところからその「そうではない」部分を感じるかというと:
・あるアートディレクターさんによれば、母校の教授が最近よく嘆くことに、「Photoshopの使い方を学びたい」など、ツールの使い方を学びたい学生の増加があるとのこと。
・某ソフト・ハード開発系企業のCTOの方によれば、若手のプログラムが非常に教科書的になりつつあるとのこと。
昨日の記事でも触れましたが、IT産業も成熟化が進むにつれて、いろんなところで一時的に成功とされたロジックが固定化し、そこで育った人達は定められたオペレーションをきっちりとこなすことは出来るけれども、そのロジックの枠の外にあるやんちゃな(まともな言い方をすると創造的な)仕事が出来なくなる、ということが起こってきているのではないかということを、長年現場を見ている方のお話で感じました。
思えば、日本でもインターネットが一般利用できるようになった頃は、ほとんどノウハウがないところから始まっていたので、必然的に:
やりたいこと>ツール
というような感じで、可能性はいっぱい見えつつもツールはない、という状況でした。その意味では非常に貪欲に可能性に向かって行かざるを得なかったのだと思います。
しかし、今エンジニアになる人、クリエイターになる人はある意味不幸で、自分のキャリアをはじめる前に既にツールは豊富に用意され、多種多様なロジックが形成されてしまっているため、必然的に飢餓感を感じることはなく、その中に安住してしまうわけです。
とはいえ誤解のないように触れておくと、僕は別にこの文章でステレオタイプな若手の批判をしたいのではありません。僕の知らないところ・知っているところでも優秀な若い人は継続的に輩出されていると思っています。僕の関心はシンプルに、どうしたら存続する組織体を作れるか、ビジネスロジック固定化の罠にはまらない組織設計とは?というところにあります。
市場では損益がキーとなって事業の存続判断が行われるのが普通だと思いますが、実際の経営では損が出た時には既に改善の施しようがないところまで進んでしまっているケースが多いわけで、いかにそういった状況に陥る前にビジネスロジックの固定化を意識できるかがポイントになってくるのでしょう。そのためには組織体の中に柔軟に事業の入退出が可能な仕組み、固定化したロジックが全体に影響を与える前に自壊していくような、いわば生物学でいうところのアポトーシスを起こすようなメカニズムをどう作って組み込むのか、その点をしばらく考えたいと思っています。