Log the Endless World

1月 30日

ライブドア:コンプライアンスに関する疑問

 ライブドア関連のニュースやブログのエントリーが多い中で、私もいろいろとニュースや皆さんの意見を読ませて頂いています。特に最近興味深く読ませて頂いたのは、はてなnaoya氏の「ライブドアの技術の話」(ライブドアは昔から技術力を持っていたことで有名でしたが、確かにソフト関連の人でも意外に知らない人が多いんですよね。人材をいろいろと輩出されていますし。)、またそれに連なる梅田さんのエントリーと、さらにそれに連なる「雑種路線で行こう」さんのエントリーでしたが、個人的な興味はむしろリーガル面にあります(経営に絡めていうと、ライブドアが売り上げに対してどれほどの技術開発投資を行っていたのかには非常に興味があります。楽天は日経コンピュータの記事と決算報告関連資料の中で、年間流通総額の2~3%をシステムコストが占める、と言っていますが、純粋に今のネット系の企業がどれぐらいここに資本を投下しているかは非常に興味深いところです)。

 今回逮捕された堀江氏のコメントをニュース等で読むと、逮捕直前に「自身はシロだと思ってやったことだが」云々、というコメントがありますが、経営者がシロだと思っているからには何らかの根拠があるものだと思っています。ここで気になるのが、1.30号の日経ビジネスでも特集で取り上げていた、顧問弁護士の話です。

 今回の件に絡んで、私も気になっていたのがライブドアのコンプライアンスに関するシステムでした。日経ビジネスの1月30日号にも触れられていますが、同誌の昨年8月1日号でコンプライアンスに関する特集があり、そこでライブドアの顧問弁護士の方のコメントが書かれていました。これを引用すると:

 「ライブドアグループでは現在(注:この現在がいつなのかはよくわかりませんが)も、私の決裁を経ないと、堀江貴文社長をはじめとする代表者の承認印が押せない仕組みになっている。ライブドアの社員はビジネス上の利益を重視するあまり、違法ではないが法律上グレー(曖昧)なゾーンに入っていきそうになる時がある。その時は、ブレーキをかけている」

 となっています。つまり、専門家の決裁を経なければ、今回のような大規模な投資案件に経営陣は踏み出せなかったはずです。私としては、これを踏まえて次の点を知りたいなぁと思っています。(1) 今回嫌疑がかかっている件に関しても、決裁が顧問弁護士に回っていたのか? (2) 決裁が回っていたのだとしたら、顧問弁護士はそれを了承したのか? (3) 顧問弁護士は現在そのことをどう評価しているのか?

 (1)はそもそも論で、もし決裁に回っていなかったのだとすれば、経営陣自らが構築したコンプライアンスに関するシステムを、経営陣が破壊したに過ぎないわけです。これは株主に対する相当な背信行為になるでしょう。ただ、堀江氏のコメントを考えると、決裁は実は回っていたのではないかと思うのです。そうすると、次に気になるのが(2)、(3)になるわけです。

 (2)、(3)については、もし了承していたのだとすれば、是非その経緯を知りたいところです。もちろん起案者の情報提供に不備があり、正しい決裁が行われない可能性もありますが、もしそうだとすれば、決裁を正しく行うための情報提供を求めるべきだったかもしれません(こういう事案はかなり込み入っているから、その判断も相当大変だと思うのですが)。

 一般の会社でも様々なケースで法令に遵守しているかどうかをしっかりと見極めないといけないような経営判断があり、これを行ううえで専門家のアドバイスは相当重視するわけです。今回の件に関しては、傍流の話題かもしれませんが、ライブドア側には今回嫌疑がかけられている件について、会社で定められた正しい決裁手順が踏まれていたのかと言う点を、また顧問弁護士の方にはその際の状況を是非公表してもらいたいものです。

 今回の件が正しい決裁手順を踏んでいて、かつ顧問弁護士がその合法性を了承していたのだとしたら、今後ベンチャーでも経営者はリーガル面でのリスクへの対処法をより厳しく考え直さなくてはいけないでしょう。それはさらに経営における法務へのコスト上昇を意味することになる可能性が高いわけですが(社会的に責任の重い企業には当然のコスト、ということなんでしょうか。こういうのはセキュリティと一緒で、どこまでやったら適切、というのが見えにくいところが難しいところです)。

 最近は株主代表者訴訟も相当厳しいものとなり、経営者のリスクと言うのは非常に増大していて、法令順守のためにリーガル面でのサポートは非常に重要になってきていると思います。とはいえ、ここ最近言われているように、日本の法曹界はそう充実しているわけでもなく、漸く法科大学院の設置が急ピッチで進められてきているような状況です。規制緩和が進むことは大歓迎ですが、確かにこうした部分でのサポートも充実して頂きたいし、また改めてコンプライアンスの難しさを理解して、そのシステムを構築する必要があることをひしひしと感じる今日この頃です。

2 Responses to “ライブドア:コンプライアンスに関する疑問”

  1. 1
    野村 Says:

    弁護士と会計士の話はある意味、機関投資家以上のドッジーと言わざるを得ないかもしれない。ホリエモンも馬鹿じゃないから、それないりにリーガルオピニオンとかとっていたはずだうよね?

    経営者としての彼の役割は合法であるという範囲において株主価値を最大化することなので、法解釈というのはその専門家がしていたはず。であれば一番問われるのは法曹界のモラルだね。

  2. 2
    mitarai Says:

    いやまあそもそも専門家のオピニオンを採っていない可能性も考慮する必要はあると思うんですけどね。

    でもやはりライブドア自身にその辺の経緯の説明と、弁護士の方にも当時の状況をしっかりと説明してもらいたいもんですな。

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