選挙に関してはいろいろと書きたいところもあるのだけど、今日は「イーベイ、スカイプを買収へ–買収金額約26億ドル」のニュースがあったので、これについて私の感じたところを書いておきたいと思います。
まず思ったのは「通信・ネット企業間における競争の次元の変化」です。まずこれを見て考えを真剣に改めないといけないのは、通信企業の方々なのではないかと思いました。つまり、インフラそのものにはもはや付加価値を生み出す可能性がかなり限定されており、付加価値の源泉はもっと高いレイヤーに完全にシフトしつつある、ということです。
Google Talkがリリースされた時にも思いましたが(しかしGoogle Talk、本当に音質がいいです。日本ではまだまだSkypeユーザの方が多い気がしますが、サービスの総合性が今後前面に押し出されるに連れ、Google Talkのユーザーはじりじり増えてくるのではないかと思っています)、音声通話というアプリケーション自体が特別なものとして位置づけられるのではなく、もはや様々なコミュニケーション手段やネットワークアプリケーションの1つとしてしか存在出来なくなってしまったということです。
これはつまり、今後の通信サービスの競争優位性を決定付けるものは、上位アプリケーションでの総合力になってくる、ということなのではないかと感じています。ここ数年、そういう感覚をぼんやりとは持っていましたが、Skypeが通信会社にではなくeBayに買収される、というところから、競争は新しいフェーズに入ったのだとより実感することが出来ました。
そこで一生懸命回線を引き続けるソフトバンクの戦略が正しいのかどうかはよくわかりません。費用対効果の高さでは、Skypeみたいな会社を買収して、既存のインフラ上でクリームスキミングするモデルの方が、実はいいのではないかと感じています。ソフトバンクはYahoo!というCash Cowを上位で持っていること、また当時は回線ビジネスで破壊的な競争者がおらず、常時接続の普及が進まなかった、という環境面での制約から、投資規模の大きい前者の戦略を取らざるを得なかったのかもしれませんが(注:山崎さんのBlogを読んでいて思いだしましたが、Yahoo!(米)はDialPadを今年6月に買収していましたね)。
Googleも米国で光回線やWiFiを買いに動いている、という噂もありますが、利益率の高いビジネスを志向する上では上位でのアプリケーション・インフラをどれだけしっかりと持てるか、というところが今後の競争のポイントになってくるということなんでしょう。Googleはその意味ではかなり優位にあると言えますが、まだ決済など足りない(これも何か前発表があったような気がするけど…)と思われるアプリケーションインフラのようなものはいくつかあるような気がします。
今後誰がこういったアプリケーションインフラのどこをどう押さえていくのかが、勝負の決め手となってくるのではないかと。APIでオープン云々、というのは最早当たり前の世界で、オープンに出来るような次のアプリケーション・インフラはどこで、それをどう作っていけるのかを今はそもそも考えなくてはいけないのではないかと。しかも、同じ土俵にいて、強力なエンジニアチームを有するGoogleに常に勝ち続けるという、シビアな戦いがここには待っているわけで。
と、こういう話をすると、ITメーカーさんや通信企業の方は「とはいえ売り上げ規模も、Yahoo!Japanでもまだ年商2,000億円程度だからねぇ、そこに移れるかと言われてもなぁ」という反応を示されることが多いのですが、僕はこの数年でGoogle等の企業の売り上げは、既存の産業に匹敵するものに近づいていくのではないかと思います。この間たまたまお会いした梅田さんに、私が「現状広告会社トップの単体売上が約1.5兆円ですが、Googleはあと5年でこの規模に達する可能性があるのではないかと思います」というような話をすると、「え、そんなに遅いと思うの?」とより先鋭的:-) なコメントを頂いてしまいました。
でもそれぐらい、この数年でネットの競争環境は大きく変わったということなのではないかと思っています。そんなところでありきたりのコメントではありますが、だからこそ変化に即応できる経営体質、組織作りというのがこれからの企業の大きな課題になってくるのだと、あらためて身に沁みて感じているところです。競争力の本質は、よりそこにシフトしていると思う今日この頃です。
追記:
僕の感想はかなり支離滅裂なので、もうちょっとeBayの戦略を理解されたい方は投資家向けの発表資料(PDF、78ページ)を当たるといいのではないかと思います。まだ僕もちゃんと見ていませんが、やはりコミュニケーションユーザーを獲得して、コマース(eBay)と決済(PayPal)とのエコシステムを作る、みたいな内容かと。今後Amazon.comとかコマースで競っている会社がどういう動きをするのかが興味深いところかと。
Google決済の件、そういえばあったあったw
これとかですよね
http://www.itmedia.co.jp/news/articles/0506/20/news009.html
そーそー、これですよ。robinさんサンキューです。しかし年内だというから、今後が楽しみです(どういうものになるのかもまだ想像つきませんが)。
明日一本書こうかと思っていたのですが、全て先取りされた感覚です。
テクノロジー的に書くとIPレイヤーと周辺を固めるサービスへの収束、ネット的に語るとアカウントとコミュニケーションのセット、普通に書くと、その人が外界とやり取りする窓口をどれくらい押さえられているかの勝負に移行してるなぁ、と読んでいました。
>インフラそのものにはもはや付加価値を生み出す可能性がかなり限定されており、付加価値の源泉はもっと高いレイヤーに完全にシフトしつつある、ということです。
先日Skypeの話を某通信会社の研究所の方としたとき、研究所の上層部はインフラ発想から抜けられれてないと嘆いてました。その方がいわゆる通信系バリバリの研究所だからかもしれませんが、高いレイヤーで勝負する話をしても理解してもらうことがまず大変だと。
話はずれますが、梅田さんの社内講演会がありまして、テーマがgoogleだったんですが、やっぱりすごい会社ですね。
SWさん、だいさん、コメントありがとうございます。
SWさんは是非コメントのような方向で整理して頂いたエントリーを上げて頂けると嬉しいです。日本でもブロガーによって見方は様々なようなので(ただ、この辺はeBayを1オークション事業者として見るか、そのエリアに留まらず、商圏を他のネット企業と争う企業として見るかで、判断が相当異なると思います)。
だいさんのコメントにも激しく同意です。CNETの下記記事:
http://japan.cnet.com/news/media/story/0,2000047715,20087169,00.htm
の最後のJupiter Researchの人のコメントのように、音声通話を中心とした通信会社、という既存の枠組みがこの時代に厳然として成立し得るような前提を持っている人もいるわけで。
自分の見方もある意味偏ったものかもしれませんし、感じ方は様々だと思いますが、シェアも利益率も低ければ、異なる市場からも攻め込まれる時代であることは(ライブドアではありませんが)よく理解しておく必要があるのだと思っています。
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左右を見るだけではなく、上下も見ないと。
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やっぱりIPアドレスをどれだけかき集めてそれで課金できるかって話だから、上位の部分で勝負するってのはそのとおり、だけど、インフラ未開の土地とかさよくしらないが、アフリカとか南米とか、東南アジアとか、やっぱりそういうところでまで視野に入れて勝負しようとするととりあえずダークファイバー買込んでそれでIPアドレスを収奪するっていう構造が必要なんじゃないだろうか。イーベイなんて金が余っているだからロシアでもインドでもグローバルに展開できるんだからスカイプ活かす為にとりあえず安いラップトップとファイバーとセットで販売しちゃうとか。コンテンツ作れる国はそうそうないからさ、世界中にトリプルプレイで配信できる足回りがどこのネット企業もほしんじゃないかな。
komarunさん、コメントありがとうございます。お返事が遅れてしまってすみません(ちょっと出張に出ていまして)。
さて、コメントを読ませて頂きましたが、そもそも論として、ネットの事業は産業構造の中でも上位に位置するものなのだと思うのですが、こういったネット企業の多くは、下層の産業の成長性がないエリアに投資をするのはあまり意味がないと考えると思います。
そこまで市場を開発する労力を取るよりは、恐らく既存の成長市場において、価値が下がった下層の企業の買取を行い、リストラと上層事業とのシナジーで価値の向上を目指すと思っています。やはり警戒すべきは、先進市場において上層が下層を統合する可能性の方でしょう。
上層が下層を統合するってのはそのとおりだよね。きっとそうなるし、そうなる途中でまたITバブルだよ。今度のは下層を飲み込むから規模がでかいバブルになるね。最終打ち上げ花火的な。とはいえ、この構造はヘッジファンド的でもあるね。上層がヘッジ、下層が国債、市場金利。だからバブルの間はとりあえず強欲なまでに行くだけ行くでしょう。でも振り返ると下層で目詰まりするんじゃないの、ちょっとした躓きで。その辺りまで下層の人たちは考えるとまた面白い。
ネットオークションビジネスで仕事をしてた者として、王者eBayここまできたか!という思いがあります。また、今いるアプリケーション業界においても、差別化のポイント、勝負の土俵が上位レイヤーに移ってきていると感じます。是非は別として、去年あたりから世間を騒がせているOracleの生き残り戦略、買収攻勢が象徴的でしょうか。
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